#15
師長を経験後、現場スタッフとしての道を選択 患者さんと丁寧に向き合う、多忙ながらも充実の毎日
PROFILE
Mさん 50代 臨床経験30年
転職を考えたきっかけは?
いちスタッフとして生きる決意で転職するも、理不尽な誤解が原因で退職
新卒で入職した総合病院で勤務を続け、師長まで勤めたMさん。最初の転職のきっかけは、病床利用率を上げたい経営側とひっ迫した現場の声の間で板挟みになったことでした。
「師長として精一杯、現場を守っていたのですが、ある時ベテランの看護師から激しい口調で不満をぶつけられたんです。
さらに「言ってくれてすっきりした」と同調する新人看護師たちの声も聞こえました。
その時、心が折れてしまったんだと思います。
上司からの強い引き留めがあったものの、心身ともに限界を感じ退職を決意しました。」
その後、間をおかずに次の勤務先を決めたMさん。
「長く家にいると動き出せなくなってしまうと考え、退職の翌月から住宅型の老人ホームで勤務を開始しました。
服薬管理や往診の際の付き添いなどが中心で医療技術を使う場面は多くありません。けれど、私の理想だったじっくり寄り添う看護ができました。」
そうして3年が経ち、心身共に元気になったMさんは身につけた医療技術を発揮したいという希望から、再び転職活動を始めます。
「決めたのは専門病院での病棟勤務です。医療技術も必要とされる環境で、希望だった日勤常勤で土日休みの条件もかないました。」
ところが、勤務して4年が過ぎた頃、退職を余儀なくされる理不尽な出来事が起こります。
「その病院は個人経営だったので、経営者の声は絶対という雰囲気がありました。
ある時、行き違いがあったのですが、結局理解してもらうことができませんでした。
昼間は一人で病棟を担当する忙しい現場で4年も頑張ったのに、こんなふうに辞めることになるなんて、憤りを感じましたし、落ち込みました。
周囲も本音では気の毒に思ってくれましたが、表立って私に味方することは難しい環境でした。」
転職活動はどのように進めましたか?
面接もままならないコロナ禍の中、コンサルタントの助言で理想の職場へ
退職を決めたMさんに看護師でもある友人から紹介されたのがナースコンシェルジュでした。
「彼女もナースコンシェルジュの紹介で転職していて、信頼できるから相談してみたら、と教えてくれました。
コンサルタントの方はとても話しやすくて、最初の面談では、今までの辛かったことや愚痴まで色々とお話しできました。世間話もしましたね。
そして「大変でしたね」、「必ずいい転職先を見つけましょう」と言ってくれました。
気持ちが落ち着いて、ほっとしたのを覚えています。
とはいえ、世の中はコロナ禍の真っただ中です。転職活動は大変です。
外部の人が立ち入れない病院が多く、院内の見学はもちろんできませんし、面接はビニールシート越し。面接を設定してもらうまでも一苦労だったと思います。
そんな中、ナースコンシェルジュは私の希望に近い候補を提案してくれて、面接まで進むことができました。」
ところが、最初の面接では失敗に終わってしまいます。
「どうしてダメだったのか、気になりました。するとコンサルタントの方が先方へ不採用の理由を問い合わせてくれました。
答えは『熱意が感じられなかったから。』
これを聞いて、前職での理不尽な経験も影響していて、確かに元気がなかったと反省。
その時コンサルタントの方からアドバイスされたことは『面接は女優でいきましょう』。
女優のように自信を持って、テンションを上げて面接に臨みましょう、ということなのですが、わかりやすい助言で納得できましたね。
次の面接では上手く熱意を伝えられたと思います。無事に内定をいただきました。」
転職先の決め手は何ですか?
最初の転職の時から職場に望む条件は一貫しているというMさん。
「一番重視したいのは、いちスタッフとして働くこと。
前職で師長をやっていた時、患者さんと向き合うことはほとんどなく、もっぱら会議とクレーム対応に毎日が過ぎていきました。
結局、精神的に追い詰められ、体を壊してしまいました。私は管理者には向いていないと強く感じましたね。
けれどキャリアの長さや主任や師長の経験があることから、管理者としての役割を求められることが多いのも事実。
『大規模な病院では管理者のキャリアを期待されることが多いので、スタッフとして働く一つの選択肢として施設も含めて考えた方がいいのでは?』と、コンサルタントの方にアドバイスをいただきました。
決定した転職先は老人ホームです。ただし以前働いていた住居型とは違い医療依存度が高いナーシングホームと呼ばれる施設。
看護師が医療を提供する場面も多く、技術も生かせます。
さらに、こだわりだった日勤常勤で夜勤オンコールなしの勤務も実現。
プライベートを大切にしたいと考えていたので、理想の勤務体制がかなったことも決断を後押ししてくれました」
現在の仕事と職場
1日があっという間の多忙な職場も、良好な人間関係でストレスなし
「現在の職場は55床の老人ホームで、寝たきりの方や気管切開をされた方、車椅子の方もいらっしゃいます。
点滴、経管栄養、吸引、褥瘡ケア、排泄解除などが日常の処置になります。
これらを4人の看護師で分担します。時間がかかる処置も多いので、あっという間に1日が過ぎてしまいます。
ベテランの方が多く、私は年齢的には下から2番目。先輩方に気軽に質問できて人間関係は良好です。忙しさもあまり苦になりません。」
Mさんは今回の転職の際に、老人ホームの他にも興味を持った職場があったと言います。
「実は訪問看護も候補の一つでした。でも、病院看護は全く異なる職場です。
患者さんのご自宅へ出向いて医療行為をすることに興味が湧きましたが、踏み切れなかったですね。
でも、実際に訪問看護施設の方にお話が聞けたことは大きな収穫になりました。
この老人ホームで経験を積んで自信がついたら、いつか訪問看護の道も考えてみたいです。」
これから転職する方へアドバイス
自分を犠牲にしないで。勇気を持って新しい道を探して
「看護師は辛くても自分を犠牲にしてつい頑張ってしまう、真面目な人が多いんです。
そして知らないうちに追い詰められています。でもそれに気づかない人も多いですね。
特に、長期間同じ職場に勤めていると転職には大きな不安を持ってしまいます。
私は新卒以来25年ひとつの病院に勤務していて、そこから飛び出すことはとても勇気が必要でした。
でも実際に転職してみたら、新しい環境に合わせて自分が変化できるんです。
それだけではありません。25年の経験がちゃんと今の仕事に活かされていることもわかりました。
新しい環境は新しいやりがいを与えてくれます。怖がらずにチャレンジしてください。
それから、転職の成功にはコンサルタントも重要です。
ナースコンシェルジュは仲のいい友人が信頼していたエージェントでもあったので期待していましたが、本当に親身になってくれました。
他の転職サイトは電話を頻繁にかけて来て、急かすことが普通でした。
でも、ナースコンシェルジュのコンサルタントの方は面接で丁寧に私の状況や希望を聞いて、それから条件に沿った転職先の紹介をします。
自分が大切にされていると感じました。
転職するのは他ならぬ自分ですから、自分を犠牲にしないで大事にしてほしいですね。
そして勇気を持って新しい場所へ飛び出してほしいと思います。」
Mさんは総合病院の師長をはじめ、管理者としての豊富な経験があり、看護師として充実したキャリアをお持ちです。しかし、前職での経験から、ご自分では管理者は向かないと判断され、今後は一スタッフとしての勤務をご希望でした。
経験が豊富な方の転職では、そのキャリアに相当した役割や役職を期待されることがあります。しかし今回はご希望を第一に考え、スタッフとしての勤務が可能な職場をご紹介させていただきました。
Mさんは、病院という職場に固執せず、働き方を第一に考える柔軟な姿勢を大切にされ、結果、老人ホームへの転職に成功されました。
現在は積み重ねてこられた技術を発揮しながら、日勤常勤という理想の勤務体系も実現され、ワークライフバランスを大切にした生活を送っていらっしゃいます。