#20
求められる看護師になるために。知識と技術を学べる職場へ転職
PROFILE
Rさん 30代 臨床経験7年
転職を考えたきっかけは?
焦って決めた初めての転職。でも話が全く違う!
総合病院の脳神経外科に勤務していたRさん。
一通りの業務をこなせるようになった4年目、仕事にはやりがいがあり充実感も感じていたのですが、他の病院も気になり働いてみたいと思うようになりました。そして同じグループの別病院へ異動を希望して受理されました。
「新しい職場は以前から興味のあった消化器外科病棟です。希望して移りましたが、順調ではなかったですね。
その病院は長く勤務する人が多く、同じグループとはいえ独自の仕事のやり方があります。
今まで積み重ねてきた自分なりのやり方と折り合いをつけることが難しかったです。それが人間関係の不協和音につながってしまいました。
仕事はやりがいを感じていました。消化器外科は回復が見えやすい分野です。手術をして元気に退院していく患者さんを見るのは好きでした。」
しかし、その状況は改善することがなかったといいます。
2年目が近づく頃には精神的にも限界を感じ、やむなく退職することに。
「退職直後は何もせずにずっと家にいました。疲れ切っていたんです。
ようやく外に出られるようになると訪問入浴介助のアルバイトを始めました。でも不安定な立場に不安を感じこのままではいられないと、転職活動を始めたんです。」
初めての転職活動を開始するにあたり、転職サイトに登録したRさん。
「時間をおかずに担当者から連絡が来て、希望条件を伝えると、いくつか候補を紹介されました。面接をして、内定をいただけた病院にすぐ決めました。
初めての転職活動で何もわからず、こういうものなのかなと思いました。その当時は早く次を決めなくては、と焦る気持ちがあったのかもしれません。」
ところが、入職すると驚く現実が待っていました。
「消化器外科病棟配属という内定で入職を決めたのですが、配属されたのは脳外科。しかも重篤な患者さんが多いSCU担当です。
夜勤の回数は入職前に聞いていたよりずっと多く、入職してすぐ夜勤が開始。月8〜10回はありました。夜勤は5床の患者さんを二人で担当します。一人はフリーなので実際に患者さんを担当するのは私一人。プレッシャーはとても大きかったです。他にも教育体制や病棟運営など目につくことは多かったですね。」
スタートから話が違っていたことに不信感が募っていったというRさん。
「転職サイトの担当者に話しても取り合ってもらえず、職場の部長さんにも話を聞いていただけませんでした。そうしているうちに、気持ちは転職へ傾いていきました。」
転職活動はどのように進めましたか?
目の前の条件だけでなく、自分は将来どう働きたいか考える
転職を決意したRさんに「頼りになるから話を聞いてもらったら?」と友人がナースコンシェルジュのコンサルタントを紹介してくれました。
「コンサルタントの方が、最初にお話してくれたことは、転職にあたっての知識や心構え。前回の転職の時には聞いたこともなかったのでとても印象に残っています。
まずは病院の形態について。私が働いているのは二次救急。三次救急は重篤な患者を受け入れる大学病院など。ここは専門性が高く今から目指すことは難しいこと。
次に、療養型の病院や老人施設などへ転職すると、介護ケアがメインになってしまうこと、そして急性期病棟へ戻るのは一般的には厳しいとされているのでよく考えるべき、ということなどを教えていただきました。
さらに、こうした現実を踏まえて、一緒に将来を考えていきましょう、と。」
看護師を取り巻く環境を教えてもらううちに、目先の希望条件だけでなく、自分はどう働いていきたいのかが見えてきたというRさん。
「教育体制がしっかりしたところで働きたい、と思いました。
技術や知識を習得して求められる看護師になって、将来の仕事の選択肢を増やしていきたい。そのために、今は急性期病棟で頑張って勉強しよう、と決めました。」
目標が定まったRさんに転職先の候補が提示され、具体的な転職活動が動いていきます。
「コンサルタントの方からは面接で想定される質問のリストをいただきました。
その質問に対し私が答えを用意して、それを元に面接の練習をしてもらいました。
練習なのにものすごく緊張したんです。おかげで本番ではとても助かりましたね。」
しかし、本命の面接は満足いくものではなかったのだとか。
「質問にうまく答えられなくて、だめかもしれないと落ち込みました。
でもコンサルタントの方は、『大丈夫、ダメだったら次がある。きっと見つかるから』と励ましてくれて、前を向かせてくれました。
ところが二週間後、内定の連絡が届いたんです。
こちらの病院が脳神経外科の経験者を求めていたため、私のキャリアを評価していただいて脳神経外科での採用となりました。
当初、消化器外科が希望でしたが、経験のある脳神経外科で貢献できるなら、ここで頑張ってみよう、と決心しました。
数年働いて、やっぱりほかの科を経験したいと思えば院内異動も選択肢のひとつだと思ったので。
内定をもらった時には、諦めかけていただけに驚きましたね。嬉しかったです。
地域密着でありながら救急医療に力を入れていること、教育がしっかりしていること、病院が綺麗で設備も整っていること、そして乗り換えなしで通えて通勤がラクなことも決め手でした。」
現在の仕事と職場
リーダーとして多忙ながらも充実した毎日
Rさんに現在の勤務について伺いました。
「実際に勤務を始めてみて、教育体制にも満足しています。
看護の質の向上を目指すラダーもしっかり定められていますし、委員会活動も盛んです。2年ごとに参加する委員会が変わるのですが、私は講師をやっています。調べることも多く、楽ではないですが、充実しています。
職場は約50床の脳神経外科病棟です。この病院は救急医療に力を入れていて、脳外科病棟であっても空いているベッドがあったら、救急をはじめ他の科の患者さんがどんどん入る慌ただしい病棟です。
忙しい毎日の中でも、この患者さんに自分は何ができるだろうと考え提案できることがやりがいにつながっています。
例えば、少しでも状態が良くなるようにリハビリの担当者に離床を提案したり、食べやすい食事提供するために栄養士さんに相談したり。
できることは時間がかかってもしっかりやりたい。それが私の理想の看護スタイルで、実現できています。
現在はリーダー業務が中心です。担当の患者さんを持たず、メンバーからの相談や報告をドクターに伝え、反対にドクターからの指示をメンバーに伝える役割です。
相談相手が明確なので新人の看護師にはいいシステムだと思います。
ただし、全ての情報がリーダーに集約されるので責任は重く、やりがいはありますが、負担も大きいです。最近はこの仕組みを改善できないかと思案中です。もちろん、簡単にいくことではありませんが。
ここでは、患者さんに少しでも良くなっていただくことを最優先にスタッフ全員が同じ方向を向いて仕事ができています。
忙しい職場ですが、人間関係も順調で職場環境はいいですね。毎日充実しています。
転職活動を通して、ちょっと忙しいくらいの職場が私には合っていて、充実感が感じられるという気づきがありました。」
多職種で連携をとりながら質の高い看護を実践されている職場に、満足されていると話してくださいました。
これから転職する方へアドバイス
自分をさらけ出して、言いたいことは全て伝えて
「遠慮しないで! 一番言いたいことはこれ。
私は前回の転職で、『転職ってこういうものかな』と簡単に納得してしまったところがあります。そこは反省点です。
聞きたいことは全部聞く、言いたいことは全部言うことが大事。待ちの姿勢ではダメです。
誰かがお膳立てしてくれることを期待していても誰もしてくれない。
自分の思いを明確に伝え、疑問は疑問のままにしないことが大切だと思います。
そして、その自分を受け止めてくれるコンサルタントの存在は重要ですね。
私は相性のいいコンサルタントと出会えて良かったと思っています。
ナースコンシェルジュのコンサルタントの方は、私のことをしっかり見てくれて、冷静で客観的な判断をしてくれます。しかも堅苦しくなく、気軽に話せる関係です。
実は今の職場で岐路に立った時、転職しようかどうか相談をしたことがありました。
コンサルタントの方は私の経歴と現在の立場、そして将来的な目標を踏まえた上で、今は続けた方がいいというアドバイスをしてくれました。
確かにそうだな、と理解できました。結果、今も同じ病院に勤務しています。
自分を丸ごと預けて、それに対してベストな提案をしてくれる方との出会いは貴重です。
もしも、次に転職することがあったらまた同じ方にお願いすると思います。」
Rさんは希望を持って転職したのに、聞いていた話と大きく違うという不信感いっぱいの経験をされました。
今回は納得感のある転職のために、まずご自分の理想の将来像を見つけていただこうと思い、そのためのお話をしました。
看護師は長く続けることができる仕事です。ご自分の人生と照らし合わせ、長いスパンでキャリアプランを考える必要があります。
ご自分が将来どうなりたいか、それを実現するためには今、何が必要かを逆算してベストな選択をしていきましょう。
人生の方向性がしっかり定まって初めて、理想の将来像につながる転職先のご提案が可能になるのです。
転職にあたって、診療科や勤務地、お給料や休日など、希望条件を設定することは重要です。けれど、それと同じくらい重要なことは、自分が何を大事にして働いて、将来どうなりたいかを見据えること。
長い目で見た時、20代、30代の方は育児や介護など特別な事情がない場合、急性期病棟で多くの症例を見てキャリアを積むことが重要です。
Rさんは「教育体制のしっかりした職場で知識と技術を習得し、幅広く求められる看護師になりたい」とご自分の理想の将来を見つけました。
そして総合病院の急性期病棟へ進む決断をされました。
目先の条件や、未来への不安あるいは前職での疲れなどから、急いで転職を決めてしまう前に、ぜひご自分の理想の働き方を考えてみてください。
ナースコンシェルジュがお手伝いをします。そして、将来につながる転職を実現しましょう。