#30
訪問看護は「患者さんの生き方」をサポートする、 看護の本質を追求できる仕事
PROFILE
Cさん 30代 臨床経験 10年
転職を考えたきっかけは?
夜勤のない、土日休みの生活へシフトチェンジ
Cさんは訪問看護師として勤務を始めて今年で4年目です。
充実した毎日を送っていると笑顔のCさんに、訪問看護の道を選んだ経緯と実際のお仕事についてお聞きしました。
Cさんは大学病院や小児専門病院、ガン専門病院などでキャリアを重ねてきました、
仕事にはやりがいを感じていましたが、多忙な毎日を送る中で生活を変えたいと思うようになったといいます。
「つらいと思った事はないのですが、看護師になってからずっと夜勤のある勤務をしてきました。
9年目を迎えた頃に、夜勤がなく土日が休みの生活をしてみたいと思うようになりました。
もう少し、ゆっくりと毎日を送ることができる生活にシフトしよう、と。
そして、転職を決意しました。」
転職活動はどのように進めましたか?
じっくりと看護と向き合える環境が希望条件
Cさんは転職活動を始めるにあたり、友人から紹介されたナースコンシェルジュのコンサルタントに連絡をとりました。
「転職の時にお世話になって、親身になってくれたと聞いていたのでお願いすることにしました。
訪問看護に興味を持ったきっかけは、友人からはやりがいがあり面白い、と聞いたので。
ずっと急性期で勤務してきたので、少しゆっくりしたペースで看護に向き合える環境がよかったんです
コンサルタントの方にお話した転職先の希望は、訪問看護の他に、療養型の病院や小児の療養施設など。他にお給料や休日などの希望もお伝えしました。
そして、メールでいくつか候補を挙げていただきました。その一つ一つの情報に解説がついていたのがわかりやすかったですね。
その後、コンサルタントの方と実際にお会いして、作戦会議をしたんです。とても話しやすくて、私の率直な希望をお伝えすることができました。
相談の結果、リストの中から三社の在宅医療の会社を候補に絞って面接に進むことになりました。給与面や勤務条件などを考えるとやはり訪問看護が一番理想に近かったんです。
面接にあたっては、それぞれの候補の会社の特徴や想定される質問などを丁寧に指導していただきました。
転職の決め手と現在の職場について。
念願の訪問看護。病院とは違う在宅での看護を習得。
三社の面接の後、現在勤務する訪問看護の会社へ転職を決めたCさん。何が決め手となったのでしょうか。
「三社の面接を経験させていただいて、同じ在宅医療を手がける会社でも三者三様に特徴がありました。
現在勤務する会社の面接では、看護師経験を持つ人事の方とお話ができました。とても感じのいい方で、好感が持てました。
仕事内容はもちろん、給与や休日にも納得できたので、決心したんです。」
現在、訪問看護師として4年目を迎え、入社してきた後輩の看護師の指導をすることもあるといいます。
Cさんは入社後、どのように訪問看護を習得していったのでしょうか。
「病院での看護と利用者さんの自宅に伺う訪問看護では内容が大きく異なります。
入社後、先輩に同行してもらって覚えていきます。
基本的には週に一回の訪問に二回同行してもらい、三回目、つまり三週目からは一人で訪問します。場合によってはそれより少ないこともありますが、わからないことは先輩や上司である管理者に聞きます。
なんでも相談しやすい職場なので、助かりました。
胃瘻やストマなど、初めて経験する処置もありましたが、同行してもらった時に教えてもらいました。最近ではYouTubeなどの動画でも勉強できるんですよ、便利ですね。
在宅看護は診療科で区切ることができない幅広い分野を見る看護です。
臨床経験が3年の新人が入ってきた時には、できなくて当然、というスタンスで、皆でフォローしながら独り立ちまで成長を見守りました。
できなくて責められることはないですね。
経験豊富なベテランの先輩もいてなんでも相談しますし、できないことは補い合うことが当然という雰囲気です。」
現在の仕事内容についても伺いました。
「朝、職場の訪問看護ステーションに出勤してから、利用者さんのお宅へ向かいます。1日で5件から6件訪問します。
週1回訪問する利用者さんが一番多いので、1日に5件から6件ずつ、月曜日から金曜日にかけて訪問します。合計でおよそ30名の利用者さんが私の担当です。
利用者さんのお宅へ伺うと、まず検温やバイタルの測定を行います。
様々な状態の利用者さんがいらっしゃるので一概には言えませんが、ケアプランに沿って、点滴、吸引、褥瘡ケアなどの処置や、入浴介助や摘便などを行う方もいます。
また、在宅での看護ではご家族のサポートも重要です。処置についての説明や様々なケアについてのコツなどもお話しします。
介護について、ご家族の方が感じる悩みや疑問について聞き役になることもあります。
何度も通っているうちにその家のことがわかってきて、ご家族と信頼関係が生まれます。
私たちのことを頼りにしていただいて、訪問すると歓迎していただけることが嬉しいです。」
仕事のやりがいは?
患者さんのより良い生活に寄り添う、看護の本質がある
Cさんがやりがいを感じる場面についても伺いました。
「介護保険を使って訪問看護を利用される方の場合、ケアマネージャーさんの存在はとても大きいです。ケアマネさんは利用者さんの介護についてのまとめ役です。
私たち看護師は入浴介助など、必要な介助や処置の追加について、ケアマネさんに要望してケアプランに取り入れてもらいます。
ケアマネさんにも様々な考え方を持った方がいますから、その方針を尊重しながら一緒にケアプランを作り上げていきます。
病院での看護と一番違うと感じることは、訪問看護にはケアマネさんを始め、様々な役割の人が関わっているということです。
例えば、訪問看護が始まる前に、関係する担当者が出席して、「サービス担当者会議」というカンファレンスを開いてケアプランを決定します。
利用者さんの状況によって異なりますが、ケアマネージャー、看護師、訪問入浴や福祉用品の担当者、ヘルパーさん、ご家族などが集まって意見を出し合いながら、最適なケアプランを練り込んでいきます。
ケアプランは定められた介護保険の更新時期や、利用者さんの状態の変化による区分変更などによって更新されます。その度に会議が開かれることもありますし、状態の変化がなければそのまま更新ということもあります。
多くの人が関わりながら介護の方向を決めていくことは、とても大変なのですが、同時にやりがいや面白さを感じる場面でもあります。
他に、大変だなと思うことは緊急電話当番。利用者さんからの緊急の電話を受ける当番です。
担当の日は緊急連絡用の電話を常に携帯して、電話があったら夜中でも駆けつけて必要な処置を行います。
いつ電話があるかわからないので気が抜けないんです。」
また、病院とは違う、看護の本質を考える場面もあるとCさんは話してくれました。
「利用者さんが送りたい生活に寄り添うことが在宅看護では必要だと感じます。
例えば、糖尿病を持つ利用者さんの場合、病院では「甘いものは禁止」なのですが、ご自宅で完全に守ることは難しいこともあります。
そんな時には「一番好きな物を一つだけ食べていいけれど、その代わり運動をしよう、とか他のものは我慢しましょう」などと工夫しながら、解決策を提案するようにしています。
タバコやお酒の場合でも同様です。ターミナル期の方の場合などにはご家族と話し合って、ご本人の希望を尊重することもあります。
病院ではルールや方針に従ってください、というのが治療の基本的なスタンスです。
けれど、在宅の看護では利用者さんのやりたいことをどこまで許容できるかをご本人やご家族と相談しながら、病院とは違う物差しで考えていくことが大切です。
患者さんのために何をしてあげられるか、という看護の本質に関わる場面が多いと感じますね。
治療だけでなく、その方の生き方や生活、さらに人生の終わりまでもサポートするのが在宅での看護だと思います。」
これから転職する方へアドバイス
訪問看護は理想の看護を追求できる仕事
訪問看護は病院とは違うこと、大変なことが多くあります。
けれど、それを上回る楽しさ、面白さがあると私は思っています。
主治医の先生の指示はありますが、それを元にできるだけ利用者さんのやりたいことができるように考えていくことが求められます。
患者さんの生活や生き方までをサポートするのが訪問看護の役割です。
病院ではできないことを追求できる、看護の本質があると思います。
ぜひ、一緒に頑張りましょう。
近年、一層ニーズが高まる訪問看護は、看護師の活躍の場がますます広がっていく領域です。
一人ひとりの患者さんにより密に関わっていきたいと言う思いから、在宅にチャレンジしたいと思う方は多いのではないでしょうか。
看護学校や病院では、訪問看護は豊富な臨床経験がないと難しいと言われている方もいると思います。
しかし、受け入れ教育体制が整った職場であれば、臨床経験が2〜3年ほどでも充分チャレンジが可能です。
実際に、今回のCさんが転職された職場は経験3年でも先輩たちが支えてくれて、充分独り立ちできるところまでサポートしてくれる体制があるようです。
もちろん責任も重く、病院とは違う苦労も多くあるとは思いますが、ご希望に合う職場が見つかれば、やりがいもあり成長もできるのが訪問看護です。
病院とは違ったスタンスで、利用者さんの生き方をサポートする訪問看護に思い切ってチャレンジしてみるのもいいと思います。
臨床経験や診療科を問わず、訪問看護に興味のある方はぜひご相談ください。