#05
海外の大学への進学をめざし夜勤専従での転職。日本の看護環境をもっと良くし後進を育てたい
PROFILE
Sさん 30代 臨床経験 9年4カ月
転職を考えたきっかけは?
イギリスのワーホリを終え帰国後の職場探し
子どものころからイギリスへのあこがれがあり、いつか働きたいと考えていたSさん。
「20代のうちに動かなきゃ。」
と思い、27歳の時にワーキングホリデーのビザを取得して、イギリスで看護師として働く事に。
「言葉の問題で最初は苦労しました。でもイギリスと日本の看護の現場の違いを学べたのは良い経験でした。ビザの延長が難しかったので、帰国した後の仕事を探すことにしました。」
転職活動はどのようにしましたか?
6社の転職サイトを経て自分軸で考えてくれる担当者と出会った
イギリスからネットで『看護師』『転職』と入れて出てきた転職サイトに登録したSさん。
「検索して出てきたところに登録し、最終的には6社になっていました。
ここダメだなって思うと、次のところに登録するという具合に。」
6社と付き合いのあるSさんならではの、転職サイトの担当者の見極め方を聞いてみました。
「ひとつは私の都合を考えてくれているか?です。
イギリスにいたころはメールでのやり取りでしたが、帰国して携帯が開通すると電話がかかって来るようになりました。
都合が悪いと言っても、担当者の都合を優先し、一方的に話を続ける人いるんです。今いいですか?の一言もなく。
もうひとつは、私の希望条件に合わないものを紹介してくる人もダメですね。」
転職にあたってのSさんの希望条件は3つ。
給与額が高いこと、日勤が少なく夜勤が多めか夜勤専従であること、自宅からの通勤アクセスがよいということでした。
「大学に行きたかったので日中の時間の自由がほしかったんです。」
『ナースコンシェルジュ』は帰国後、最後に登録した転職エージェントでした。
「登録したら担当者からメールが来て、その後、自宅の最寄り駅まで来てくれました。
話しやすい面白いおじちゃんという印象でした。でも条件を伝えたところ、普通は、携帯やパソコンで情報を検索する人が多いのですが、ポンポン情報が出てきたんです。
頭の中に入っているんだなと。この人なら大丈夫そうだと思いました。」
転職先の決め手は何ですか?
給与面と職場の雰囲気で夜勤専従の総合病院に
条件にかなう総合病院に入職することにしたSさん。
「夜勤専従で働けるのと年収がよかったのが決め手です。あと、希望していた内科の担当でした。」
絞り込む段階で、担当コンサルタントが条件を整理してくれたことで、比較検討がしやすかったと言います。
「例えば、休みの多いところを選んだら、年収がこれぐらい下がるというように。
そう言ってもらえると、自分の今の生活レベルがどのぐらい下がるのかが想像でき、就職後の暮らしのシミュレーションがしやすかったです」
もうひとつSさんならではの職場の見極め方があるそうです。
「勤務条件は求人票でわかります。でも職場の雰囲気は、実際に目で見ないとわからない。
面接に行った後は職場を見学しますよね。そこで、スタッフが挨拶できるかどうかをチェックしています。
ちゃんと教育が行き渡っている病院は、ドクターからナース、事務の人までみんなきちんと挨拶ができます。
そういう意味では、入職を決めた病院も合格でした。」
現在の職場と仕事
海外の大学でも学んで日本の看護環境を改善したい
「夜勤専従で月に10日か11日の勤務です。
16時半から翌日の8時半が勤務時間ですが、情報収集するために14時半ぐらいには職場に行っています。
夜勤スタッフは正看護師が10人、准看護師が3名、助手が4名ぐらいです。
年齢は私が一番若く、40代後半から60歳手前の人が働いています。」
職場は明るい雰囲気ですが、同僚の中には、患者さんへの目配りや気配りが足りない人がいることが、多少気になると言います。
「色々あっても、看護師という仕事はもともと好きです。やりがいがあります。」
この仕事をしていてよかった、と思うエピソードが最近でもありました。
「熱中症で搬送された患者さんが、突如、心停止してしまったんです。
すぐに蘇生してレベルが戻り、別の病院に転院しましたが、そのときの対応がよかったそうです。
患者さんのご家族がとても喜んでくれて、元気になりましたって、わざわざいらしてくれたんです。そういう風に言ってもらえると、がんばってよかったと実感します。」
将来の夢を聞いてみました。
「もう一度海外の大学で、日本と海外の看護の違いを勉強したいです。
今の看護の現場をもっとよくしたいので、海外の良い点を取り入れらないかと思っています。
今の病院は休職して行っていいとはいってくれます。無給なのでお金を貯めないとですが(笑。
それと、若手の教育にも関心があります。
自分が勉強してきたことを新人教育や、上の人の指導力を上げることに役立てたいです。
たとえば、新人看護師の塾みたいなものが作れるといいよね、と看護師の友人と話しています。」
なぜ教育に関心があるのでしょうか?
「ナースは離職率が高い。新人でも半年ぐらいで辞めることも少なくないです。
卒業後、すぐに現場に出るにあたり、教育課程はあるものの、ついていけない子は脱落してしまいます。そういう子たちの塾。現場に出ていくための基礎を教えるようなところです。
今はその手のサポートをしているところがないので。
指導する側にも課題があると思います。教え方にばらつきがあったり、ジェネレーションギャップがあり、今の子たちの志向にあわない教え方だったりするのも一因です。
新人の子たちも知識はあります。でも頭でっかちで現場で身体がついていきません。ひとつできないと全部ダメって思ってしまう子もいて。だから育てていかないと残らないですよね」
これから転職を検討する方へのアドバイス
最低3つぐらい譲れない条件を明確に
「転職を検討する時には、今自分がどうなりたいか?だけではく、2年後、3年後まで視野に入れたほうがいいです。
私も初めての転職は失敗しました。自分がこうしたいというものが確立できてませんでした。社会人としても看護師としても経験が浅かったので、この条件で契約するとどんな日々になるのかの想像ができなくて。
勉強したいことが詰まった病院だったか?どんな人が働いているか?
この年収や休日だったらそういう生活になるのか?がイメ―ジできませんでした。
働き始めてから、自分が目指してるものを違うと気づきました。」
そうは言っても、なかなか先々の目標まで考えられない人もいるかと思います。
「そういう時は、まずは、自分が譲れない条件を3つぐらいは明確にしておいたほうがいいです。
そうしないと、この条件では無理と言われるとそんなもんかと流され、結局後で不満が残ります。
あと、収入面は気にしたほうがいいです。いくら理想の看護ができる環境でも、自分の生活面に不安があると、いろいろ考えて仕事に集中ができません。
自分が日頃使っている額や、どの程度の生活レベルが必要か、から逆算してみるといいですよ。」
Sさんのように条件が明確な場合、労働条件を整理して、比較検討しやすいようにご案内するようにしています。そうすることで、譲れないポイントがより明確になるからです。私たちコンサルタントは日頃から病院を回り、現場や人事関係者から情報取集をしています。そうすることで、労働条件だけでなく、その方の志向や性格に合った職場をご案内できると考えています。