#07
地域包括支援センターで保健師への転身は最終ゴールの訪問看護に向けての知見を広げるステップ
PROFILE
Iさん 30代 保健師
転職を考えたきっかけは?
患者と健康管理の最善を知るために地域包括の現場に
三次救急、二次救急、高齢者施設での勤務を通して多種の医療現場を見てきたIさん。
今回の転職の理由をこう語ります。
「学校卒業後は大学病院の手術室で4年間働きました。その後、慢性期の一般病棟などで働くうちに、摂食と嚥下に興味を持ち、退院指導や看取りも数多く担当してきました。
そこでの経験から、病院だけの視点では、広い意味で“看護している”とは言えないことに気づきました。
またどんな場でも、多職種連携とうたわれていますが、現場ではうまくいっていない実感もありました」。
病院と在宅介護の連携には課題があり、結果的に入退院を繰り返す悪循環につながっていると感じたIさん。
そこで、現状を知るために、病院以外にも様々な施設を回り、広い視点を持つことにしました。
「有料老人ホーム、医療研究所、特別養護老人ホーム、デイサーサービスなども回りました。
今回は、行政側と民間の事業者との連携を学ぶために、複数の職種をつなぐ保健師という選択肢を考えました」。
転職活動はどのようにしましたか?
同じエージェントにキャリアプランを長年相談
『ナースコンシェルジュ』とは5、6年のお付き合いになるIさん。
非常勤の夜勤専従で働いている時に、同じ立場の看護師から紹介されました。
「50歳までには地域包括医療に携わりたいと考えています。
そのために、必要な知識とスキルを身に着けたいので、1年から1年半ぐらいのスパンで職場を変えるキャリアプランを描いていることを伝えました。
『ナースコンシェルジェ』には、看護師出身や、大手企業での事業設計、営業現場が長かった人など、前身の経験が多様なコンサルタントがいます。その時の自分にとって、必要な視点からアドバイスをもらえる担当者に相談してきました。」
現在の担当者とは4年。
「2020年の1月に半官半民での保健師の転職を相談しました。領域外でしたがIさんのためなら探しましょうと言ってもらえたのが心強かったです。
多くの施設を当たってくれました。」
その他の希望は?
「転職の目的が行政側の考え方を知ることだったので、行政関係で働きたかったのと、勤務地の希望がありました。
できれば、非常勤時代に携わっていた勉強会や研修会、セミナー運営でお世話になった先生方が多くいる地域か、地元の千葉を希望しました。」
転職先の決め手は何ですか?
現場のやりづらさが生じない、専門職と組織運営者の連携がいい職場へ
23区内の地域包括支援センターへの入職を決めたIさん。
「行政関係は募集人数が少ない上に、4月入職の採用が終わっていたところも多く狭き門でした。
担当コンサルタントは、給与面や休日などの条件を比較提示してくれ、その中から6,7件に絞り面接し、2つ合格しました。」
最終的には勤務条件よりは職場の雰囲気を重視し今の職場に決定。
「職場の雰囲気は、面接担当者のやりとりから想像できます。
一般的に、面接には師長や部長などの専門職の管理者と、人事担当者などの組織運営側の両者が対応してくれます。
その時に両者の連携が今ひとつと感じることがあります。
例えば、お互いの話を聞いていないとか、目を合わせないとか。
こういうケースは、現場と運営側の考えがすり合わずに働きにくいことが多々あります。
結果として利用者のケアに支障がでるので、そこをチェックしました。
もちろん職場の見学も欠かせません」
現在の職場と仕事
保健師が介在して地域の中にオリジナルのチームを作る
保健師として入職して半年のIさん。担当エリアが広いため14名体制。保健師と主任ケアマネが各2名で、社会福祉士9名と事務1名の体制です。月から金の勤務で土曜と祝日はシフト制の勤務。
「月初と月末はケアプランを作成と振り返りと、業務が過密になるため、多少残業はありますが、その他は定時勤務です」
新しい仕事に慣れ、保健師としての仕事の醍醐味を徐々に実感しはじめました。
「住み慣れた地域で、最後まで患者さんの尊厳を守りつつ介護できる地域づくりが、地域包括ケアの考え方です。
病院ではすでに役割が決まったチームで患者さんを担当します。
でも、地域にはそのチームはありません。その方の状況にあわせて、保健師がチームを作ります。
例えば、ガン末期の方が最期は家で過ごしたいという希望を出された時、
どんなサービスが必要で、緊急時に対応してもらう先生や介護士さんとの連携を考えてコーディネートします。
認知症の方の場合は、その方の生活支援から近隣の方への理解促進、さらには行政への提言までと、ひとつひとつがオリジナルで、とてもやりがいのある仕事だと思います」。
そんなIさんですが、保健師の仕事は3~5年と考えています。最終的には、看取りの経験も増やし、看護小規模多機能型施設を経験して、訪問介護に携わりたいと考えています。
転職を検討する方へのアドバイス
「転職を検討するにあたっては、給与と休みだけで決めないほうがいいです。
何がしたいのかも併せて検討しないと、入職してからこんなはずではなかった、と被害者意識が強くなってしまいます。
例えば1年とか短いスパンで自分がどうなっていたいかと考えてみると、
どんな職場が適しているのかが見えてきます。
やりたいことが、ぼんやしている場合でも、転職サイトのコンサルタントは、転職理由や、やりたいことを聞きながら明確化を手伝ってくれます。
それでも、先のことが見えない場合は、自分より人生の経験豊かなコンサルタントのアドバイスを参考にしてみるのも良いと思います。
最終ゴールに到達するために必要なステップを考えている私だって、目の前にゴールの訪問看護の求人があると、もうそこに行ってもいいかな?と迷いが生じてしまいます。
そんな時、私の担当は、まだそこじゃないですと、客観的にアドバイスしてくれます。
長く相談できる人がいることの良さです。
あと、やりたいことだけができる職場はないので、理想と現実の折り合いをどうつけるかも大事ですよね。
転職エージェントは単発でのご利用の方も多いかと思いますが、長期のキャリアプランの作成や実行のお手伝いをすることもできます。
Iさんのように将来の目標が明確でも、たびたびご相談いただき、その時々の必要な職場のご提案をしてきました。また当社では転職ご希望者からの「逆指名」により、職場はお探しすることを強みとしています。